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2024/5/9

「相続放棄」この言葉の相談者の方の真意とは?

「私は相続放棄するつもりです。」「相続人○○は相続放棄する予定です。」

相続登記の相談を受けている際に、相談者の方からこのような言葉をよく耳にします。

ここで使われる「相続放棄」という言葉の真意についてよく確認しないと、相談者の方の意図していることとは、異なる法律上の結果になってしまうおそれがありますので注意が必要です。

※法令や制度は執筆時点のものです。

相談者の方から「相続放棄」と言われた時の専門家として気を付ける点とは?

私たち専門家が「相続放棄」という言葉を聞くと、家庭裁判所における「相続放棄の申述」のことをすくに思い浮かべます。

「相続放棄の申述」の手続とは・・・
亡くなった人の財産(借金などの債務も含まれます。)を、一切相続したくないときは、家庭裁判所で相続の放棄をする旨を申述しなければなりません(これを「相続放棄の申述」といいます。)。相続放棄をすると、初めから相続人ではなかったこととみなされます。相続放棄の申述は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に、家庭裁判所に行わなければなりません(民法938条)。

(名古屋家庭裁判所ホームぺージ掲載の手続説明より引用https://www.courts.go.jp/nagoya-f/vc-files/nagoya-f/04kajibu/05/02souzokuhouki.pdf)

しかし、相談者の方の話をよく聞いていると、「相続放棄の申述」のことではなく「一部の相続人が遺産を何も取得しない遺産分割協議(以下、単に「遺産分割協議」とします)」という意味で「相続放棄」という言葉を使っている場合があります。

相談者の方がどのような意味で「相続放棄」という言葉を使っているのか、専門家としてはしっかりその意図を確認する必要があります。

「相続放棄の申述」と「遺産分割協議」の違いとは?

それでは、「相続放棄の申述」と「遺産分割協議」では何が違うのでしょうか?

預金などプラスの遺産を何も取得しないという意味ではどちらも法律上の効果は同じです。

最も気を付けなければならない違いは「借金などのマイナスの財産を引き継ぐがどうか」ということです。
他にも違いはたくさんありますが、この点が特に重要ですので今回はここに焦点を当てたいと思います。

「相続放棄の申述」の場合は初めから相続人ではなかったこととみなされ、亡くなった人の財産(借金などの債務も含まれます。)を、一切相続しないことになります。
つまり亡くなった人の借金が残っていた場合、債権者からの返済請求に対して「自分は相続放棄したから借金を返済する義務はない」と主張することができます。

これに対して「遺産分割協議」の場合は、亡くなった人の借金が残っていた場合、債権者からの返済請求に対して、「自分は遺産分割協議で遺産を何も取得しなかったのだから借金を返済する義務はない」と主張することはできないのです。
これでは、遺産を何も取得しなかったうえに借金の返済義務は負うという非常に苦しい立場になってしまいます。

相続人が亡くなった人の借金の返済義務を免れるためには「遺産分割協議」ではなく「相続放棄の申述」をしなければならないのですが、実際に相談を受けていると、このことを知らない方が多くいらっしゃいます。

そのため相談者の方から「相続放棄」という言葉が出た時には「それは家庭裁判所でする相続放棄の申述の手続きのことですか?それとも遺産分割協議で遺産を取得しないという意味ですか?遺産分割協議の場合、現時点で知らない借金が後日判明した場合は遺産を取得しなくても借金の返済義務を負う可能性がありますが大丈夫ですか?」と違いを説明して相談者の真意を確認する必要があります。

「相続放棄の申述」を検討すべき場合とは?

それでは、「遺産を何も取得しなくていい」と考えている相続人は「相続放棄の申述」と「遺産分割協議」どちらを選べばいいのでしょうか?

次のような方は相続放棄の申述を検討された方がいいと思います。

  • 面倒な相続手続きに関わりたくない

遺産を何も取得しなくていい」と考えている方の場合は「プラスの財産は取得しなくていいし、ましてやマイナスの財産を取得するなどもってのほか、そもそも面倒な相続手続きに関わりたくない」と考えている方がほとんどだと思います。
相続人の一人になると遺産分割協議など、他の相続人から手続きに関わることを求められます。
相続放棄の申述をすると、初めから相続人ではなかったこととみなされるため、それ以上相続手続への関わりを求められることが基本的には無くなります。

  • 亡くなった人との関係性が疎遠で、生前の生活状況がよく分からない

何年も交流のない親や兄弟、遠い親戚の相続人になった場合、被相続人の生前の生活状況がよく分からず、借金がある可能性も大いにあるので、遺産を取得するつもりが無いのであれば「相続放棄の申述」をした方が安心かと思います。

  • 連帯保証人になっているおそれがある

無くなった人が他人の借金の連帯保証人になっている場合は、「相続放棄の申述」をしないと連帯保証人の義務を相続することになってしまいます。その場合、債権者からある日突然「連帯保証人の相続人なので滞納している借金を支払ってください」と請求される場合があります。
特に会社の経営者の方の場合、経営者個人が会社の借金の連帯保証人になっており、借金の額も大きい場合も考えられますので、遺産を取得するつもりが無く、会社の経営に関わらない相続人の方は「相続放棄の申述」を検討すべきだと思います。

「相続放棄の申述」は、「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内」に、家庭裁判所に行わなければなりませんので、期限に間に合うよう速やかに手続きを行う必要があります。

「遺産分割協議」で進めてもいいのか?

亡くなった方との関係性が密接で、生前の生活状況もよく分かっており、「借金があったり連帯保証人になっていることは絶対に無い」と確信できるような場合は、「相続放棄の申述」ではなく「遺産分割協議」でも良いかと思います。

「相続放棄の申述」の場合は家庭裁判所に書類を揃え申述書を提出する必要もあり、手続きが完了するまで申述書を提出してから1カ月程度かかるなど、手続きに一定の手間と時間がかかります。

「遺産分割協議」の場合は遺産分割協議書に署名と実印を押印し、印鑑証明書を添付すれば済むので、「相続放棄の申述」に比べれば手間は少なく時間もかかりません。

まとめ

以上、「相続放棄」この言葉の相談者の真意とは?というタイトルで「相続放棄」「遺産分割協議」について考えてみました。

皆様の参考になれば幸いです。

当事務所では、相続に関するご相談を多くいただいており「相続放棄の申述」や「遺産分割協議書作成」のサポートを行っております。

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